ハナミズム(花見ism)
桜も満開となり、お花見シーズンが続いている。僕は根津に住んでいるので、谷中霊園、上野公園と桜を楽しませてもらっている🌸
今は花見と言えば桜だけれど、昔は違った?
4/1に新元号「令和」が発表され、その由縁となる万葉集の一説では梅の花の下で宴をしていた(梅花宴)と記されている。
「あれ、今って梅の花の鑑賞はするけど、宴は特にしないよね?あれ?」
そんな疑問を解くべく、整理してみました。
お花見は年に一度しかない非日常の時間。広義の"祭"にも近いものがあるので、花見ism(花見の本質的探求)をしてみた。
もしかしたら使える?ウンチクもあるので楽しんでみてください。
花見の特徴と歴史
- 花見の三要素は、「群桜・飲食・群衆」である
- 上記の定義に基づく「花見」を行うのは世界で日本だけである
- 日本最古の花見は、812年(平安時代)に嵯峨天皇が京都の神泉苑というお寺で催されたと記録されている
- 庶民が花見を楽しむようになったのは江戸時代中頃、徳川八代将軍吉宗が花見を推奨したことから始まった
- 奈良時代以前には花見と言えば「梅」だった。しかし、平安時代になり遣唐使が廃止となると、徐々に花見の対象が桜に変わる。(奈良時代に作られた万葉集では梅の歌が118首に対し、桜の歌が44首であった)
- 貴族文化的な花見と農民文化的な花見が結びつき、江戸時代中期に庶民の楽しみとして広く定着し、現在までつながる花見となった
- 日本の花見は単に桜を見て楽しむだけでなく、飲み物や食べ物を持って、ゴザの上に円座を組み花見をするという特徴がある
桜の語源と花見の成り立ち
- 桜の語源として一番有力なのは「サ・クラ」説である(サ=穀霊、クラ=座)
- 山の神は春には田野上になり里に降りてくる
- 山から降りてくる途中サクラに宿り、桜の花を咲かせる
- 桜の花が早く散る=稲の神の力が衰えていると考えられ、凶作を暗示する
- そのため農民は桜の花の下で酒宴を催し、歌や舞で神をもてなし桜が散らないよう神に祈る
桜の種類
- 日本には300種以上の桜があると言われており、その8割はソメイヨシノである
- 昨年、103年ぶりに桜の新種が発見された(紀伊半島南部の「クマノザクラ」)http://j-town.net/tokyo/news/localnews/257609.html?p=all
少しアカデミックな花見分析
- 私たちの先祖は桜を見ながら共に飲食をすることで、仲間たちの団結をより深めていった(共食)
- 花見は「時と場を同じくする贈答」であり、中元や歳暮は「時と場を同じくしない花見」と言い換えることもできる
- 人が集まる理由は団結を高めるため(そのために酒が入るようになった)
団結はそれ自体が目的ではなく、「共同の幸福」を達成するための手段である
その他花見や桜に関するオモシロ話
- 花見団子と言えば桜色、白、緑色の三色が一般的。それぞれが、春、冬、夏を表しており、秋がないため飽きがこないと言われている
- 日本以外での最大の花見イベントは米国の首都ワシントンで毎年4月に行われる桜祭り。しかし、ここでは飲食をする様子は見られない
- 桜は英語で一般的に”Cherry Blossom”と呼ばれるが、チェコではSAKURAと呼ばれている
- 花見は年中行事の中でも人気のハレの行事であるが、バレンタインやひな祭りなどに加えて、女性の負担が少ないものとされる
その他、有識者へのヒアリングなどを重ねて大原が独自に編集しました
宴は続く。祭も続く。