マツリテーターへの道

日常に"祭り"というスパイスを

『そうだ 皇居、行こう!』

「そうだ 皇居、行こう!!」
そう思ったのは、天皇誕生日のお昼の有楽町線車内。帝国ホテルでの打合わせを終え、永田町のコワーキングスペースに向かっていた途中にスマホを見ると、facebookのタイムラインに地方出身の友人のこんな投稿が。

今日は天皇誕生日ということで、東京に来て一度は行きたかった一般参賀に参加。

小さい頃、天皇陛下を間近で見て、地域の人たちが目を輝かせて湧き立つのを見て、日本の象徴であることの意味を感じて以来(平たくいうと天皇陛下ってすげーなくらいの感じ)、皇室好きなんです。

その時初めて今日が天皇誕生日だったことに気づき、自分が皇居入口に近い場所にいることも分かった。天皇陛下にお目見えできるのは午前中のみということだったが、一般参賀は午後もやっていることが判明。

「いつ行くの?今でしょ!
ということで帝国ホテルのあった日比谷に引き返す!(実は逆走してて月島まで行っていたことはご愛嬌w)

人生で初めて皇居の中に足を踏み入れた

皇居の中を1時間少し歩いてみた感想は、「清々しい」の一言。

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都会の真ん中にとても気持ちのいい空気が流れる。

 

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ここで名刺を渡し、記帳をした。

「外国人は国籍を、日本人は県名を書いてください」と言われ、一瞬筆が止まる。生まれ育った神奈川と書こうか、ここ4年ほど住んでいる東京と書こうか迷った挙句、神奈川を選んだ。

 

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広い芝生が広がる。ニューヨークのセントラルパークを思い出す。

 

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大都会TOKYO!

 
驚くことに、1/3くらいは外国人だった。今は日本中の観光地で見かけるようになったけれど、浅草寺などと比べてもその「多様さ」が異なる。文字通り世界中から人が来ている感じ。欧米、アジア、アフリカ、南米、、こんなに多様な人種が偏りなく集まる機会に遭遇したことは殆どない。皆丁寧に記帳をしている。天皇陛下の誕生日を祝っている。

インバウンドという言葉がすっかり定着してきた通り、外国人観光客は一気に増えた。そしてこれからも確実に増えていく。

それに呼応するように「英語表記を増やそう」「wifi環境を整えよう」「英語で説明できるようにしよう」という自治体や個人の機運も高まっており、それ自体は素晴らしいことだと思う。

しかし、天皇誕生日に皇居を訪れるような感度の高い外国人は、日本人に道は聞いてこないだろう(自分でgoogle mapで調べる)。聞いてくるとすれば「wikipediaを見てもイマイチピンと来ないけど、日本人なら知ってるかも」ということなはず。

とても苦い思い出がある。

What's Tenno?

天皇って何?」と初めて聞かれたのは、22歳の頃。ペルーのリマ空港に向かうタクシーの中で、当時同い歳のアメリカ人の女性にその質問を受けた。当時の僕は9ヶ月間のアメリカ留学と1か月間のペルーバックパック旅行を終えたばかりであり、英語力には自信があった。初見のアメリカ人とも仲良くなって「どうせ空港行くならライドシェアしない?」と提案し、車内でも楽しく会話をしていた。

彼女は「日本にもすごく興味があるの」と言って、いろんなことを聞いてきた。

そして、”What’s Tenno?” という質問を素直な、純粋な関心として聞いてきた。僕は"Symbol of Japan(国の象徴)"という模範的な言葉を使って「政治的権力はないけれど、象徴なんだ」と答えた。しかし、納得のいかない顔で彼女は質問を続ける。

「象徴って何?エンペラーとは違うの?国王ではないの?」

僕は混乱した。そしてしどろもどろになり、しまいには根負けし「ごめん、よく分からない」と謝った。彼女は「そう。」と言って話を逸らした。

僕に対する関心が薄れていくのが分かった。英語の問題じゃない、日本語でそれを聞かれたとしても僕には説明できる素養がなかった。その時の悔しと悲しさは今も心の中に疼いている。

国際人ってなんだろう?

半年前まで、大企業の中でグローバル人材を育てるためにはどうしたらいいか、ということを考える仕事をしていたから、国際人というのはとても身近なテーマだ。
※僕がリマでアメリカ人と出会った11年前は「グローバル人材」という言葉は一般的ではなかったから、当時使っていた「国際人」という言葉で話を進める

今、個人的に国際人の要件を一番シンプルに定義しろと言われたら、下記のような表現を使いたい。

「言語的/文化的背景の違う人たちに対して、自分と出身地のことを魅力的に伝えられること」

超シンプルに自己紹介するなら、“I am Manabu. I am from Japan.”となるだろう。

それでは一体Manabuは何者か?Japanはどういう国か?

知らない人にこれを伝えるのはとても難しい。

相手に興味を持ってもらうためには、ある程度の教養が必要だし、その人やその国のこともある程度理解する必要が出てくる。

Manabuについてどれだけ知っているかはさておき、Japanについて(地元や居住地と置き換えることもできる)どれだけ知っているかについては一度問いかけてみてほしい。

Japanについて理解をしようと思ったら、Tennoのことは避けて通れない。もちろん神社仏閣もそう。政治思想や宗教思想云々じゃなく、素養として知っている必要がある。

祭と関わるのは、国際人に近づく一歩?

今、私が天皇陛下を説明するために一つ言葉を選ぶとしたら「祭祀の長」だ。そう、祭と密接に関わっている存在。

地域に根付いたお祭りに関わることは、その土地の歴史・文化・風土に関わること。勉強しても覚えられなかったことが、強烈に楽しい体験とセットになると「忘れられない記憶」になる。忘れられない記憶は、止むことのない好奇心を創り出す。結果として、地域や日本の理解が深まっていく。


イメージとして、海外で自己紹介をする機会に半纏姿の自分の写真を一枚見せながら「これはね、あれはね、それでね、、」って楽しそうな表情で語れたら、興味関心を持つ人は多いんじゃないかな。


皇居から話が飛躍した。
でも、11年前にペルーで感じた悔しさを、僕は少しでもMa-tourismに込めていきたいと思うのです。

 天皇陛下お誕生日に際し(平成28年) - 宮内庁 

 

祭りは続く。