マツリテーターへの道

日常に"祭り"というスパイスを

「"夏"が来た!」秩父川瀬祭り(埼玉県秩父市)


風通しの良い家の二階の畳の上でうたた寝していると、どこからともなく聞こえてきた秩父屋台ばやしの太鼓の音で思わず目が覚める。今日が「祭り」だということをふと思い出す。

祭りの衣装に着替えて気持ちを整え、少しばかりの気合を入れる。今回曳かせてもらったのは、中町の笠鉾(かさぼこ)。色鮮やかなピンクの花びらと、細部まで施された彫刻はまさに芸術作品。そこに子供が乗り、「寳来(ほうらい)」という言葉を続けて発声する。地元秩父の小学六年生が主役で笠鉾に乗るのは昔は男子だけだったものが、数年前から女子もOKになったそう。



運行役と呼ばれる若手の頭が笠鉾の進行方向を見極め、準備が整ったと判断すると、じゃらんじゃらんと鐘を大きく響かせる。それをスタートの合図に、綱を引っ張って町の中を進んでいく。一見するとただ歩いているだけのようにも見えるが、初動の際のグイッと来る感覚は気持ちいいし、道を曲がるときの臨気応変な動きを求められる緊張感もたまらない。総じて、皆真剣そのもの。

綱の曳き手は、笠鉾に近いところから、大人の男・中高生男子・女性・子供と綺麗に分かれている。ちなみに休憩時も地元の男たちはその場を離れず、休憩するのは女性と子供のみ。運行役の他にも、様々な役職を地域の中核を担う男たちが担っている。



秩父で有名なのは日本三大夜祭と言われている秩父夜祭。夜祭も川瀬祭りもどちらも秩父神社のお祭りなのだが、地元では夜祭を「冬祭り」「大人の祭り」と呼び、一方秩父川瀬祭りを「夏祭り」「子供の祭り」とも表現する。両者で山車や笠鉾の大きさなどは異なるものの、共通しているのは秩父独特の太鼓と篠笛の音色「秩父屋台囃子」である。山車の車輪のすぐで上で激しいリズムをずっと叩いているのだが、敢えて隠して見せないようにするのがなんとも粋だ。

秩父川瀬祭に関しては、300年頃前に、疫病退散を目的に、京都の祇園祭りをもとに創られたと言われており、今でも「お祇園」という表現が残っている。各町ごとに山車や笠鉾のデザインも違い、すれ違うときなどに、太鼓の音色を合わせて互いに掛け合いをする様子は圧巻。



そして、夜には提灯がつき、幻想的な風景が広がる。



大迫力との花火ともコラボする。



川瀬祭りのもう一つのクライマックスはこちらの「神輿洗い」
今回は生で見ることはできなかったが、400キロのお神輿を担いだまま荒川に入っていく。今年はお祭りの2日ほど前に台風が来ていため、川も増水していたためかなり緊張感があったのではないかと思われる。



今回は2日間参加させてもらい、真夏の炎天下や夕立にも似た雨なども経験した。昼、ミンミンゼミが威勢よく鳴いていると思えば、気づくと夕方にはヒグラシの音が刹那を感じさせてくれる。小さかった頃の「夏」がありありと蘇ってくる。



P.S.
とあるご縁でお祭りゴミ拾いボランティアもさせていただくことになった。これを通していろいろな問題点も沸き上がってきたが、歩くことで街を知り、地元の中高生の甘酸っぱいやり取りを観察し、お祭りに来てる方々とのコミュニケーションもでき、とても良い機会となった。



激しさ、美しさ、神秘さ、荘厳さといろいろなものが凝縮された真夏の祭典、秩父川瀬祭り。来年7月19日、20日は是非足を運んでみてはいかがでしょうか。